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人を育てるとはエフィカシーを高めることなのだ〜大阪桐蔭高校野球部の話〜

「致知」

大阪桐蔭高校野球部監督 西谷浩一氏が「チームを日本一に導くもの」というタイトルでインタビューに答えている。
人間学を学ぶ月刊誌「致致」2017年12月号 特集テーマ「遊」よりご紹介します。

 

大阪桐蔭高校とは

 

大阪府大東市にある私立の中学高校です。

部活動が盛んで、今回の野球部・サッカー部・ラグビー部・バスケットボール部・陸上部など運動部をはじめ吹奏楽部も全国区の活躍で知名度の高い学校言え、多くの皆さんは何らかの形で学校名を聞いたことがあるのではないでしょうか。

部活動だけではなく、進学校としても大阪を代表する進学実績を残しています。



 

大阪桐蔭高校野球部の戦績

 

春夏連覇1回を含む、夏の甲子園大会優勝4回・センバツ優勝2回の戦績を誇理、特にここ10年の成績は目覚ましいものがある。また、プロ野球界へ数多くのOBを輩出している。

 

あまり野球を見ない私でも知っているOBは、このような選手だ。

森  友哉(西武) 藤浪 晋太郎(阪神) 中田  翔(日ハム) 西岡  剛(阪神) 中村 剛也(西部)

懐かしいところでは、今中 慎二(中日)もいる。

 

野球部は全寮制となっていて、「自分のことは自分でする」と言うルールを設けていて、掃除洗濯も一年生が三年生のお世話をするようなこともないそうだ。

「一球同心」と言う部訓を創部以来掲げていて、野球のダイヤモンドは90度。大事なのは残りの270度、つまりグラウンド以外のところ」と言う教育を徹底している。

 

監督としての2つの心掛け

 

西谷監督が23歳で同行に赴任した時、このような言葉を当時の校長先生からかけられたことが、ベースとなっている。

 

「教えられる教師はたくさんいるけど、育てられる教師は少ない」

 

西谷監督は、子供たちを成長させるために必要なことは”信頼関係”だと、本インタビューで語っている。その2つとは。

①「あなたはコーチをしている対象の人の話を聞いていますか?」

 

32歳の頃、コーチングに関する本を読んでいた時に書いていた言葉だそうだ。

それまでは面談をして子供たちとコミュニケーションを取っているつもりになっていたが、子供の言動を否定し、一方的に自分の意見を伝え延々と説教するダメ教師だったと気付いたそうだ。

以来、指導者としてのあり方を勉強し直し、子供たちの話を聞くことに徹していくことで、少しずつ子供たちが自ら考え、行動できるようになっていたという。

 

②「日本一」という言葉を日々の練習の中で使い続けること

 

「今のキャッチボールで日本一になれるんだろうか」

「今のノックで日本一になれるんだろうか」

「こんな掃除の仕方で日本一になれるんだろうか」

 

1日に最低10回は「日本一」という言葉を使い続けているという。

そうすることで、本気で日本一を目指す風土が醸成されていくのだそうだ。



 

「日本一」のきっかけ

 

2007年の冬から「日本一」を始めたきっかけは、校長先生からの助言だった。

 

「監督は謙虚で一所懸命やっているけど、日本一になると口にした方がいいんじゃないか」

 

それまでは、目標は人に言うものではなく、後から結果がついてくるものだと思っていたと言う。

それからすぐに行動に移したそうだ。至る所に「日本一」を書き、「日本一」を公言し、高校ラグビーや社会人野球の「日本一」を決める試合を観戦し、掲げた目標に向かってなんでもやり遂げたと言う。

その結果、翌年夏の甲子園で日本一を達成した。

 

指導者が常日頃どのような態度で子供たちと接し、どのような言葉を発しているかによって、チームの成長、勝負の分かれ目が決まると20年近くの監督経験からの実感とまとめている。



 

まとめ

 

「日本一」を公言すると、本気で日本一を目指す風土が醸成されていくと監督は言っているが、これこそがエフィカシーそのものではないか。

毎日毎日、「日本一」と絡めて物事に取り組んでいくとエフィカシーが高まって脳が活性化し、素振り一つにしても質が全く違うものになっているだろうことがわかる。

校長先生からの助言のきっかけは、中田 翔(日ハム)がいてすごくいい選手に恵まれた(と監督が思うレベル)時に、監督は心の中で「このチームで日本一になろう」と思っていたが、センバツベスト8、夏の甲子園は予選落ち、秋季大会ではPL学園にコールド負けという結果に、周囲からも冷ややかな声が聞こえてきた時だったそうだ。

 

この西谷監督のインタビュー記事で勉強なったことは2点。

一つは、西谷監督の”素直さ”

コーチングの本で勉強した時、校長先生からの助言で始めた「日本一」の助言と言い、キッカケを活かしてすぐに行動している。その切り替えと徹底した行動が求心力となっているのでないだろうか。

もう一つに、新米教師の頃の”校長先生がしっかり西谷監督を成長させた”ということだ。

まさに”三つ子の魂100まで”

今の西谷監督は、この校長先生との”出逢い”がなければなかったかもしれない。

 

西谷監督も校長先生の言葉を受けて、「育てられる教師」とは。を自問し続けてきたに違いない。

そして、野球部では「日本一」になるためには。と部員達に自問させる環境を作っている。

ともにエフィカシーを高めることが教育となり、”人を育てる”ということに結果に繋がっているのだ。

大阪桐蔭の甲子園での活躍が楽しみだ。