脳科学を活用してマネジメントに活かす実践方法というテーマで書かれた書籍があると、購読している書評誌で紹介されていたの読み始めています。このようなブログをやっているとちょうど良いネタだと思って買ったが、全440ページと長く内容も専門的なのでやっと半分ぐらいといったところ。内容を少しご紹介をしておきます。
【新品】【本】3Mで学んだニューロマネジメント 脳科学を活用して組織・人のモチベーションを高める実践方法! 大久保孝俊/著
3Mで学んだニューロマネジメント
著者は、グローバル企業スリーエム・ジャパンの執行役員 大久保孝俊氏。グロバル企業なので日本以外での勤務経験もあり、”性別や年齢、国籍、人種を超えて通用する”ことを念頭にマネジメントを考えられてきたようです。もちろん国内企業に全てを当てはめるのは難しいでしょうが、非常に参考になると思います。
スリーエムは我々がお世話になっている商品としてはポストイットを販売している会社です。
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SSRマネジメント
①Stretch:背伸びした目標の設定
人間は「満たされている状況では変化を好まない」という本質と戦わなければならない。
メンバーの心を「安心」の状態から連れ出して、今のままが続くことはないと気づかせるため、創意
工夫なしでは達成できないような高い目標を示す。
人間は「不安」になると臨戦状態となり、緊張感が高まり注意力も増してくる。
この時、脳内では危険が迫った時に大量に放出されるノルアドレナリンが分泌され、心身を緊張状態
にして注意力や集中力を高めるが、緊張状態が長く続くと逆に注意力や集中力が低下してしまう。
②Support:精神面を含めた様々な支援
「不安」状態が長く続くと人間は不調をきたすので、適宜「安心」の状態を提供しないといけない。
メンバーの挑戦をマネージャーが応援していることを行動と言葉で伝えることでマネージャーの本気を
メンバーに信じてもらう。
この時に脳内では、セロトニンが分泌される。緊張をほぐし精神を安定させる効果がある。
③Reward:正当な評価と報酬
「安心」から「自信」の心の状態に変える。正当な評価による昇進や昇給で処遇することで、新しい
stretchに対する挑戦を楽しめる”根拠なき自信”をメンバーの中に作ることになる。
この”根拠なき自信”はドーパミンによってもたらされる。ドーパミンは、目標を達成したり褒めら
れたりした時に放出され意欲や自信を高める効果がある。
このように人間の感情や心は、意志とは別のところで化学物質によって大きく影響を受けている。
特定の神経伝達物質を放出しやすい環境を作り出せば、この人間の本質に沿った3つのステップをスムーズに回すことが可能になる。
これが脳科学が教えてくれる、”やる気を引き出すマネジメント”において最も基本となることだ。
まとめ
今回は”SSRマネジメント”についてご紹介した。
これまで本ブログでも、”セロトニン”や”ドーパミン”などについてはご説明してきたが、このように他人をコントロールするという観点で考えていくとまた難しさは別格である。
しかし、個人の性格などの焦点を当てず”性別や年齢、国籍、人種を超えて通用する”というレベルで考えることでたどり着いたのでしょう。
著者は、現場での実際の実用例も多数盛り込んで解説してくれているので理解がしやすい。
その経験から、この”SSRマネジメント”のサイクルを回す際には日常のコミュニケーションが不可欠で、特に①stretchの部分で本人にとって過度な目標設定になっていないか注意を払う必要があると書いている。
そのように型に囚われることなく理想の形を意識しながら、いかに個人・組織の成長を促していくか。
これまでのマネジメントの考え方に非常に参考になる良書と言える。