ハーバード大学ビジネススクール・シニアフェローのビル・ジョージ氏がPRESIDENT 2017年12月4日号”「最高の自分」コントロール法”というコーナーで誰もが知るスターバックスCEOハワード・シュルツ氏を例に”人生の意味づけ”について語っている。
ビル・ジョージ氏とはこんな人
2001年まで最先端医療技術企業メドトロニックの会長兼CEOを務め、2001〜’02年全米トップ経営者25人の1人に選出される。現在はハーバード大学ビジネススクールでシニアフェローを務める。
ピーター・ドラッガーやウォーレン・ベニスを継ぐリーダーシップ研究の第一人者であり、実務と研究双方で大きな業績を上げてきた氏は、”自分らしさを貫くリーダーシップ(オーセンティック・リーダーシップ論)”を提唱し、自分の生きてきた道筋を振り返り「自分らしい」リーダーになるための考え方を紹介している。
リーダーシップに関して5冊の著作。
ハワード・シュルツって?
世界的コーヒチェーン・スターバックスの会長兼CEO。
ニューヨーク・ブルックリン生まれ。
幼少の頃から苦しい暮らしで、フットボールの特待生としてノーザン・ミシガン大学に入学。
1982年にスターバックスに入社するも、1985年独立してエスプレッソ小売店を創業。
1987年にスターバックスを買収し、世界的な規模へ成長させる。(以上、wikipediaより)
ハワード・シュルツのルーツ
シュルツ氏は、動機となるルーツは父親だと言っている。どのよう人物であったのだろうか。
(最初に断っておくが、シュルツ氏の父親は決して悪人ではない)
- トラック運転手をしていた時、氷の上で滑って転び足首を骨折し、職を失い健康保険の権利を消失
- トラックやタクシーの運転手、工場労働者として働いて年棒2万ドルを超えることは一度もなかった
- チャンスも尊厳も得られないと愚痴をこぼして取り乱していく
- 30ものひどいブルーカラーの仕事につき、不安定な生活しか送れなかった
最初にあげた父親が骨折して職を失った時、シュルツ氏は7歳だった。その惨めな姿を見て、”父親のようにはならない”と誓ったいう。
後に、シュルツ氏は自らが育ったブルックリンの公営アパートへ自身の娘を連れて行くと、こんなお嬢様発言したそうだ。
「どうやってこんなところで、グレもせずにまともに育ったの?」
今ではブルックリンスタイルという古い建物をリフォームした内装が人気だが、シュルツ氏の幼少期は”綺麗になる前”の時期だと思われる。そして、現代ではニューヨークからほど近く家賃が安くてクリエーターたちに人気のエリアというから、当時の地域性は推して知るべし。
↓↓↓↓ちなみにブルックリンスタイルってこんか感じです。ノスタルジーですね↓↓↓↓
シュルツ氏の原動力
10代の頃、シュルツ氏は父親とよく衝突はしたという。父親の失敗が恥ずかしくて「頑張れば、もっと成功できたのに」と。その生活から逃れる決心をしたが、こう語っている。
「いつも自分自身を突き動かしていた気持ちの一部に失敗への恐れがあった。自滅することの意味を
わかりすぎるぐらい分かっていたから。」
その後、シュルツ氏に転機が訪れる。それは父親の死だった。
友人と父親との葛藤のあれこれを語っていると、こんな一言を言われたのだ。
「もしもお父さんが成功していたとしたら、君をここまで掻き立ててくれるものはなかったのではないか」
シュルツは泣いたでしょう。
”父親は家族に対して正直であり、責任感を持っていた。彼は敗北者ではなく、世の中の仕組みに押し
つぶされたのだ”
父親の死後、思いを改めたのでした。
シュルツ氏の目指すもの
シュルツ氏がスターバックスで目指すもの。それは、
”自分の父親が働くチャンスを得られなかったような会社”
”自分の父親がきっと誇りをもって働いたに違いない会社”
従業員が大切にされ、尊敬され、出身地・肌の色・教育のレベルを問わない会社
最低保障賃金より多くの賃金を払い、充実した福利厚生を用意し、全社員にストックオプションを提供
こんな会社の価値観に共感してくれる従業員を強く魅了し、離職率は同業他社に比べて半分未満に留まっているそうだ。
まとめ
今回はシュルツ氏の父親に焦点を当てられているが、一番重要なポイントは”ある事柄に対する価値判断はどの視点で見るかによって異なる”ということだ。
以前、客観視することについて書いたが、”父親”について自身の視点だけで見ていると、「失敗への恐れ」という”負の力”に推されていたが、友人の一言によって新たな視点が導入され”正の力”によって前進している。
このもう一つの視点をいかに持つかによって、人間の感情なんていうものはコントロールできる。
シュルツ氏は幸運にして友人に救われたが、そんな幸運も多くの人に訪れるものではないだろう。
このような時に”マインドフルネス”を通して、価値判断を加えずに自己との対話を行うことができるようになる。それは”最良の友人”を得たようなものだ。
現在、日本にも多くのコーヒーチェーンが参入してきている。その中でスターバックスは埋もれることなく存在感を発揮していると感じる。
価格は比較的アッパーの部類に入るが、提供しているものは決してコーヒーの味ではないだろう。
(味がわかる風な方も多いと思われますが・・・)
それは雰囲気であったり店舗スタッフから滲み出る何かではなかろうか。
以前の記事で、従業員満足について書いているが具現化した1つ例と言える。
このようなことに”意識を向ける”と、今までと違ったスパイスを感じることができるだろう。
きっとそれがスターバックスの味の秘密に違いない。
※補足※
最後まで書いて感じたのが、やはりシュルツ氏の父親は決し悪人ではない。
シュルツ氏が、”職業をいくら変えようが家族に対して正直であり、責任感があった”と思いを改めることができたのは、父親がその置かれた状況で一生懸命にやっていたからだ。
成功だ失敗だという前に、まずは置かれた場所で一生懸命頑張るという大前提を忘れてはいけないということを思い出しました。