少しダイエットして痩せたい・・・筋肉をつけて引き締めたい・・・
禁煙したい・・・お酒を控えたい・・・ケーキやお菓子を食べる量を減らしたい・・・
そんなことを思いながらもなかなか自分自身の行動をコントロールをできずに思うだけで終わってしまう人が周りにいらっしゃらないですか?はたまたアナタもその1人かもしれませんね。
こういう時、「意志が弱くて、、、」みたいな話になると思います。そもそも”意志”って何なんでしょうね。今回は、意志を形にする(行動する)力ということで、”意志力”についてまとめてみます。
少し意識して行動するだけで、明日のアナタが変わります。その積み重ねが未来のアナタになるんです。
「意志力」を因数分解してみた
「意志力」っていきなり言われても一体どんなものなのかわかりますか?
なんとなく自分の欲望を押さえ込んで、理性的判断ができるという感じがします。
しかしながら基本的に人間の脳って、”感情>理性”なんですよ。だからポイントを押さえないと、今まで企画倒れに終わってしまった数々の”意志”たちと同じ末路を辿ってしまいます。
”意志力”の実態は、額と目の後ろに位置する脳の領域”前頭前皮質”なんです。人間が進化するにつれて大きくなり、脳内の多領域との連携も良くなったので新しいコントロール機能も持つようになったんです。
注意を払うべきこと、考えること、感じることまで。この新しいコントロール機能によって、人間は行動をコントロールできるようになりました。
この前頭前皮質は、大きく3つの領域(力)に分かれているのご紹介します。
①望む力
前頭前皮質の中央にある目標や欲求を記録する場所。この部位が活性化すると行動を起こしたり、誘惑をはねのけたりするモチベーションをあげてくれます。そして、アナタが本当に望むことを忘れたりしません。
②やる力
前頭前皮質の左側にあり、退屈な仕事やストレスの多い仕事でもちゃんとやり着手してやり続けられます。
③やらない力
前頭前皮質の右側にあり、衝動や欲求を感じてもすぐに流されないようにすることができます。この働きで運転中に携帯メールを見たくなっても我慢することができるんですよ。
上記の3つの力は、進化の過程で発達した新しいコントロール機能となります。
新しいということは古い機能もあるわけで、そもそもは”衝動と本能のシステム”という古いシステムがすでに存在するところに新しい自己コントロールシステムが付け加えられたということなんです。
なので神経学者の中には、脳は1つだが心(自己)は2つあるという先生もいらっしゃいます。
つまり、「衝動のままに行動して自己の欲求を満たそうとする自己」と「衝動を抑えて欲求の充足を先に延ばし長期的な目標に従って行動する自己」の2つです。
思い出して見てください。冬の朝に目覚ましによって目が覚めたものの、そのまま起きるか布団の中にもう少し居座って二度寝するかの葛藤を。
意志力の関する問題は、この2つの自己の対立です。
結果としてどちらかの自己が勝つことで行動が決定されるんですが、誘惑に負ける側が常に悪いわけではなくケースによって本当の目標に対して大事な事は何かとという点に照らし合わせることが重要なんです。
意志力の鍛え方
前頭前皮質が担う新しいコントロールシステムと昔から持っている衝動と本能のシステムの2つの存在を理解して、両方をうまく目標達成のために使う。それこそが”意志力”となるのでその鍛え方を2つご紹介します。
①自己認識〜それを行う理由を理解する
人間はほとんどの選択を無意識のうちに行っています。自己コントロールのシステムを使うためには、まずその選択をする瞬間に気付かないといけないですよね。コントロールする対象を理解するという事です。
ほとんどの選択を無意識にしているという点の実験結果としては、「食べ物に関する決断を1日に何回していると思うか?」という質問に対して平均14回という回答だったものが、同じ人に実際に決断の数を記録してもらうと平均227回にもなったというほど、人間の選択は意識されていないんですね。
禁煙したいと思っている人であれば、吸いたくなった時にどういう時に吸いたくなるかを知ると「吸わない」という意識的選択ができるきっかけになりますよね。
②「選択した瞬間」を振り返る
選択の機会は数え切れないほどあります。①の気付くために意識するとともに、選択を振り返るという時間を持ちましょう。
目標に対する選択をどのように行ったか、1日を振り返って良い選択をした時もあれば無意識の選択をしてしまった瞬間もあると思います。その選択それぞれを振り返ることで翌日の選択の時に気付けるようになります。その積み重ねが意志力を強くしていくことに繋がります。
脳を鍛える
アナタは人間の脳は加齢とともに衰えると思っていませんか?
実は、人間の脳は鍛えることによって変化し成長するんです。それを脳の可塑性(カソセイ)と言います。わかりやすい例でいうと、スポーツで反復練習を行うことで動きがスムーズになったり上達したりした経験があると思います。それも可塑性の一部で、その動作に必要な脳の回路が鍛えられて成長したということなんですね。
それと同様に”意志力”と言われる前頭前皮質を鍛えるために”マインドフルネス瞑想”が有効であると研究結果が多数発表されています。
マインドフルネス瞑想を行うことで、前頭前皮質への血流が増えるので「注意力」「集中力」「ストレス管理」「衝動の抑制」「自己認識」といった自己コントロールに関わるスキルが向上すると報告されているんです。
マインドフルネス瞑想を8週間毎日行うことで、自己認識を司る”灰白質”や記憶を司る”海馬”の量が増え、さらに衝動や感情を司る”扁桃体”が小さくなるという研究結果があります。
このような作用があるので、マインドフルネス瞑想は”脳の筋トレ”と言われます。
まとめ
”意志力”についてまとめてみましたがいかがでしたでしょうか。
一番重要な事は「望む力」でしっかりと自分自身の目標をはっきりとさせる事ですね。ダイエットであれば、ただ痩せれたらいいなというレベルではなく、痩せる事で「どのようになりたいか」「どのように思われたいか」というイメージをハッキリさせる事です。
そして、その長期的目標に対して「やる力」「やらない力」を発動させる。
そのためにも自分自身の行動のほとんどが無意識で選択されていることを知り、意識的選択ができる回数を増やすように心掛けるということがポイントだということですね。
実はこの無意識の選択というのは恐ろしいもので、ファーストフード店やコーヒーショップで考え事をしながら並んでいて自分の番が、思ってもいない注文をしたことはないでしょうか?
スタンフォード大学のババ・シヴ教授の研究によれば、「人は気が散っている時ほど誘惑に負けやすい」という結果が出ているそうです。先ほどの考え事をしながら並んでいた場合、店員さんのオススメに思ってもいなかったのに乗っかってしまったりということですね。
本記事はスタンフォード大学のケニー・マクゴニガル先生の著書を参考にまとめました。
図解でわかるスタンフォードの自分を変える教室 [ ケリー・マクゴニガル ]
マインドフルネスについては下記の記事を参考にご覧ください