最近、健康食品でミドリムシやユーグレナの表記を目にする。これらは同一のもので、一般名がミドリムシ。学名がユーグレナという。最近、よく見聞きするなぁと思ってる方も多いかもしれないが、ネーミングだけでは測れないすごい効用がある。
ミドリムシの研究開発を行う株式会社ユーグレナ社長 出雲 充氏が、人間学を学ぶ月刊誌「致知」2018年1月号特集テーマ「仕事と人生」にて、前の記事でご紹介したTBM社長 山崎氏との対談でユーグレナの可能性について語っているのでご紹介する。
ミドリムシって
あまり日常生活には関係ないが、ざっくりとした特徴はこんな感じ。
特徴
淡水ではごく普通に見られる生物である。止水、特に浅いたまり水に多く、春から夏にかけて水田ではごく頻繁に発生する。水温が上がるなどして生育に適さない環境条件になると、細胞が丸くなってシスト様の状態となり、水面が緑色の粉を吹いたように見える。
ミドリムシは0.1mm以下の単細胞生物で、おおよそ紡錘形である。二本の鞭毛を持つが、一本は非常に短く細胞前端の陥入部の中に収まっている為、しばしば単鞭毛であると誤記述される。もう一方の長鞭毛を進行方向へ伸ばし、その先端をくねらせるように動かしてゆっくりと進む。細胞自体は全体に伸び縮みしたり、くねったりという独特のユーグレナ運動(すじりもじり運動)を行う。この運動は、細胞外皮であるペリクルの構造により実現されている。ペリクルは螺旋状に走る多数の帯状部で構成されており、一般的な光学顕微鏡観察においても各々の接着部分が線条として観察される。細胞の遊泳速度もさほど速くないので、初歩的な顕微鏡観察の題材に向く。
鞭毛の付け根には、ユーグレナという名の由来でもある真っ赤な眼点があるが、これは感光点ではない。感光点は眼点に近接した鞭毛基部の膨らみに局在する光活性化アデニル酸シクラーゼ (PAC) の準結晶様構造体である。真っ赤な眼点の役目は、特定方向からの光線の進入を遮り、感光点の光認識に指向性を持たせる事である。
細胞内には楕円形の葉緑体がある。葉緑体は三重膜構造となっており、二次共生した緑藻に由来する。従って緑藻同様、光合成色素としてクロロフィルa、bを持つ。ミドリムシでありながらオレンジ色や赤色を呈する種もあるが、これは細胞内に蓄積されたカロテノイドやキサントフィルによるものである。細胞内には貯蔵物質としてパラミロンというβ1,3-グルカンの顆粒も見られる。
以上、wikipediaより。
ミドリムシという名前だが、芋虫・青虫・毛虫といった類の虫ではなく、わかめ・昆布・ひじき・もずく・海苔などの海藻の仲間なので気持ち悪くないこと。あと、他の海藻と違って植物なので動くこと。植物と動物のいいところを両方持っているという特徴がある。
キッカケ
出雲社長がミドリムシを始めるキッカケは、大学1年の頃に行ったバングラデシュだ。
現地の人々が栄養失調で苦しむ人々を見て、栄養満点の食べ物を持って行きたいと考えた事がスタートだという。
そもそもミドリムシが培養できると世界の栄養失調を失くせることは、1980年にすでにわかっていた。
しかし培養が難しく、バクテリアやプランクトンに食べられてしまってうまくいかなかった。
一般的には、無菌室で育てるのが基本だったミドリムシだが、人が出入りするだけで服に微生物がついて来るので結局食べられてしまう。
それであればミドリムシには悪影響はないけど、ミドリムシを食べようとする害虫が嫌がって寄って来ないような培養液を作ればいいじゃないかと考え、食用屋外大量培養が可能になった。
ユーグレナ ミドリムシのちから サプリメント 200粒入り
ユーグレナの緑汁 粒タイプ 124粒(4粒×31包)
バイオジェット燃料とバイオディーゼル燃料
ユーグレナから燃料を作る。この取り組みは当社にとって非常に大きな挑戦の一つです。サトウキビ、トウモロコシやパームから生産されるバイオ燃料は、食料と競合するため食料価格の高騰を招きました。そのため次世代のバイオ燃料を生産するためには、農地利用で競合しない素材を用いるのが好ましいと考えられています。なかでもユーグレナのような藻類は、従来のバイオ燃料が抱える問題を克服できる可能性があり、新しいバイオ燃料の原料として注目されています。
当社では早くからユーグレナの燃料化を視野に、さまざまな研究開発を進めてきました。バイオジェット燃料に関しては、2010年5月より研究開発を開始し、大学や企業との共同研究や政府支援プロジェクトへの参画を通して、燃料用ユーグレナの培養技術などの開発をすすめてきました。また精製技術に関しても、バイオ燃料製造技術の1つであるバイオ燃料アイソコンバージョンプロセス技術に関するライセンス契約およびエンジニアリング契約を、2015年6月に米国のChevron Lummus Global & Applied Research Associatesとの間で締結しました。一方、バイオディーゼル燃料に関しても、2014年6月にいすゞ自動車株式会社との間で、微細藻類ユーグレナ由来の次世代バイオディーゼル燃料の実用化に向けた共同研究契約を締結し、「DeuSEL®(デューゼル)プロジェクト」をスタートしました。またバイオジェット燃料フライト実現を目指す産官学コンソーシアムである「次世代航空燃料イニシアティブ」および「2020年東京オリンピック・パラリンピック協議大会に向けたバイオジェット燃料の導入までの道筋検討委員会」にも参加し、関係各所との協議・情報交換や意見提言を行っております。(ユーグレナHPより)
このように2020年目指して、飛行機とバスの燃料の切り替えについて考えられている。ここにも東京オリンピック効果があり、オリンピックという“MICE”を開催する重要ポイントなんだと言える。
※MICEというのは、人が集まるイベント事を総称した呼び名である。
M・・・Meeting
I ・・・Incentive
C・・・Convention
E・・・Event
まとめ
このように健康食品に使われる栄養価の高い食品としてだけでなく、バイオ燃料としても期待されるミドリムシ。屋外での培養も成功し環境にも優しい。
世界のエネルギー資源問題の重要な解決策として期待される。2014年には東証一部上場も果たし、すでにご存知の方も多いだろうが、改めてこのミドリムシの効能にご理解頂きたい。
このままいけば、21世紀前半には現代のエネルギー問題の根本が覆されえているかもしれないインパクトなのだから。