時間密度を濃くして、あなたの未来を引き寄せるお手伝いをします

あなたの知らない日本刀の世界

「致知」

人間学を学ぶ雑誌「致知」2018年1月号特集テーマ「仕事と人生」において、刀匠 松田次泰氏とJFEホールディングス特別顧問 数土文夫氏の対談記事が掲載されている。

日本人の精神性を象徴する”日本刀”とテーマに、鉄を扱う二人が語り合っている。


日本刀の歴史

 

鉄が使われ始めた弥生時代から刀というものが作られている。

平安中期までの約千年の間は、”直刀”という聖徳太子も携えている真っ直ぐな刀が作られていた。これは中国や韓国でも使われていたそうだ。

平安中期から”独特の反り”が施されるようになり、これを”日本刀”と呼ばれるようになったそうだ。

ちなみに”日本刀”というのは中国から見た呼称で、日本刀を賛美した漢詩がたくさん残されている。

 

日本刀には作られた時期によって、4種類の呼び名で区別されている。

 

  • 古刀 ・・・平安中期〜江戸幕府が始まる頃まで
  • 新刀 ・・・文化文政の頃まで(1800年代前半)
  • 新々刀・・・幕末まで
  • 現代刀・・・明治以降の150年間ほど

 

幕末に刀鍛冶の水心子(すいしんし)正秀という人が、「刀はすべからく鎌倉に帰るべし」”復古刀宣言”をしてから、鎌倉時代の刀を再現することが刀鍛冶の目標であり仕事となったそうだ。

このような刀の世界なので、刀として認められるのはせいぜい幕末の新々刀まで。現代刀というものは全く相手にされないという。

 

日本刀の3つの顔

 

日本刀には、”武器””美術品””精神性”という3つの顔を持っている。

もちろん”武器”としての機能性はアナタも十分お分かりだろう。我々が日常で使うハサミなどとは明らかに鋭利さが違うようだ。また、強靭さも備えており以前テレビ番組で日本刀の刃とピストルではどちらが強いかという企画をやっていたが、刃こぼれせずに日本刀がピストルの弾を真っ二つにしていた。

ルパン三世の五右衛門は、アニメの世界だけではなかったのだ!

 

”美術品”としては、日本刀は国宝に指定されている数がダントツに多い。

現在、千百一点ある国宝のうち日本刀が百十点を占め、一割を超える。昔から美術品として見られてきた象徴だという。数土氏は、始めて脇差を見たときゾクゾクしたことが忘れられないと語っている。

 

最後に”精神性”だ。こちらについては、現代の我々にとっては日本刀が身近なものではないのでわかりにくい部分でもある。

新渡戸稲造が残した「武士道」にはこのような記述がある。

 

「彼が腰に提げているものは、常に心に携えている忠義と名誉の象徴でした」

 

武士といえば、切腹が連想される思いますが切腹の意味の説明も。

 

私は魂が鎮座している場所を開き、あなたにその様子を見せましょう。私の魂が清らかなのか、それとも汚れているのか。どうぞご自身でご確認ください。

 

日本人もギリシャ人も、人間の魂は”腹”に当たる部分のどこかに宿ると考えられていたためだ。

また、新渡戸稲造は元服して刀を持つことは精神発達上極めて重要だが、”その刀をむやみに使うことは一番愚かなことだった”と解説している。

そのような視点で見てみると、五百年も千年も残っている名刀で刃こぼれしているものは一つもないそうだ、ということは結局、使われていないという証拠だ。

 

このことからわかることは、日本刀というものは礼節、節度をために携え、争いを抑止し平和を実現するために作られていたと考えられる。

「このような精神性を封印してしまったら日本刀の本当の魅力は理解できない」と数土氏は語っている。


武士道 (いつか読んでみたかった日本の名著シリーズ2)


NHK「100分de名著」ブックス 新渡戸稲造 武士道

鎌倉の刀を越える

 

松田氏は、刀作りの技術では、鎌倉の古刀に近いものは作れるが並べると雲泥の差があったことがあり、その差に気づいた。その差は原料の鉄だったという。

刀作りには”和鉄”という昔ながらの製法で作られた鉄が必要で法律でも刀を作るときは和鉄を使うことに決まっている。この和鉄というものは、ほとんど製造されないため姫路城の大修理など古い建造物を解体する時に出る古い釘などの和鉄を再生して使うが、それらは人間国宝の師匠方に優先的に回っていく。その解決のため、昭和52年から島根県の安来に「日刀保たたら」と呼ばれる製鉄所で昔の製法で上質な”和鉄”を生産している。

 

この”和鉄”に対して現代で主流となっているのが”洋鉄”というそうだ。

洋鉄は錆びにくいが、錆び始めるとあっという間にボロボロになる。逆に和鉄は、一瞬にして錆びるがそれ以上錆びないから長持ちするという特性があるという。

その和鉄というのは、一週間ぐらいかけて昼夜分かたず不眠不休で作りあげるそうだ。

その結果、刀の元となる良質な玉鋼(たまはがね)が出来上がり、刀鍛冶によって鍛え上げられる。

最近もたたら製鉄の施設の修繕が行われ、良質な和鉄が手に入るようになり松田氏の作った日本刀は鎌倉の古刀を越えたと鑑定家や老舗の刀屋でお墨付きをもらったという。

松田氏自身、名工”正宗”を見て「ああ、正宗だ」と思うように、「ああ、松田だ」と思われる歴史に名を残すような刀を作り上げたいと強い意欲を持っている。


まとめ

 

私が小さかった30年ほど前、百貨店の催事ではよく日本刀や鎧・甲冑といったものが取り扱われていたような気がする。

しかし、最近ではあまりそのような催事も行われていないのではないだろうか。私も本記事を読むまで日本刀がなんたるやなど知る由もなかったが、この記事で大変興味をそそられた。

特に精神性の部分。確かに武器として作られているが、刃こぼれした日本刀は残っておらずたまにテレビで見る機会があっても、非常に大切に扱われ美しい状態が保たれている。

このような見方が少しでもわかると、最初の一歩が踏み込みやすくなる。これからの年末年始の時期は、何かの催事で取り上げられるかもしれないし、神道の三種の神器でもあるので宮中祭祀でも使われる。

この日本の伝統文化である日本刀について興味をそそられる内容でしたのでご紹介しました。