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対談:「マチ工場のオンナ」

「致知」

人間学を学ぶ月刊誌「致致」2018年1月号の対談記事にて、女性経営者の対談記事が掲載されている。

ダイヤ精機社長:諏訪貴子日本電鍍工業社長:伊藤麻美ともに、創業者である父親の急死に伴い、32歳の時に倒産寸前の会社を引き継ぎ見事に再建を果たした。

突然の事業継承により、倒産寸前から黒字に回復させる過程で何を原動力としていたのか。その強靭な精神力に迫る。

諏訪氏は、著書『町工場の娘』が原作となって、「マチ工場のオンナ」というドラマがNHKにて放送されている。

ザ・町工場

事業継承の決意

伊藤氏は23歳の頃にご両親を立て続けに亡くしたが、会社経営には携わっていなかった。その間、アメリカへ留学したりしていたが、31歳の時に倒産寸前で実家が競売にかけられるので私物を撤去してくれと連絡を受け日本に帰国。翌年に社長就任。

決意の理由は、自分自身がここまで育ってきたのは家族・会社・社員のおかげ、社員の家族の影が見えた時、何とかしたいと思ったそうだ。

方々に相談するも、会社の状況を聞くと悉くやめろと言われたものの、一人だけ「麻美ならできるできるだろう。2〜3年地獄を見てこい」と言われ、3年地獄を見たら4年目から天国かなって思ったことが後押しになったと語っている。

↑このたった1人の言葉にエフィカシーが高められていますね。そして、本人がコンフォートゾーンを抜け出す動機付けになっていますね。

社長就任当初、整理回収機構が入っていたが6年後には借り換えを実現する。(実は社長になるまで会社勤めをしたことがなかったそうだ)

かたや、諏訪氏は大手自動車部品メーカーに就職し、結婚。出産を経て主婦業を謳歌している時に事業継承のタイミングがやってきた。

社員から社長就任を懇願され、周囲に相談するもイエスともノーとも言われなかった。

それまで自分で決断して人生を決めるという経験がなかったため、引き返す事が出来ない決断に恐怖を覚えていたという。その時に相談した女性弁護士に「やってダメだったら自己破産すればいいだけだから」と言われて、確かにそうだ。命まで取られることはないし、前に進むしかないと覚悟が定まったという。

↑こちらもこの女性弁護士の言葉が、コンフォートゾーンを抜け出す動機付けとなっている。

業績回復

伊藤氏の日本電鍍工業は、メッキの技術が売りで腕時計部品のメッキが売り上げの9割を占めていたが、その仕事はどんどん海外へ流れていき業績は悪化の一途だった。

その時、現状の設備でできる量産ではなく、景気が悪くなってもなくならない分野は何か?と考え、医療・健康・美容という分野に目をつける。

そのタイミングで医療機器メーカーから問い合わせが来た時には、全社員が出来ないと言い張った。

「形状が複雑で微細な医療器具にはメッキを載せられない」「人体に影響を及ぼすかもしれない」

出来ない理由を調べて言うわ言うわ。

↑これはクリエイティブアボイダンス(創造的回避)ですね。

腕時計以外の分野を探そうとしてRASが働き、高付加価値な商品を提供できる分野を探してくれています。

多くの反発を受けながら、「出来ないことは世の中に存在しないし、今できなくても五年後には絶対できる」と言う話をしたら、2名の社員が開発に取り組み数ヶ月で完成した。

このようなコツコツとした小さな努力の甲斐あって、三年目に黒字に出来たそうだ。

ダイヤ精機の諏訪氏は、”新生ダイアへの改革三年計画”として、下記の取り組みを行った。

  • 1年目   意識改革・教育
  • 2年目   新しい機械の導入やIT化
  • 3年目   維持・継続・発展できる仕組み作り

三年が経つ頃には、社員たちが「俺たち新生ダイヤだから」と言う声を聞いて、改革成功を実感した。

しかし、諏訪氏のこの3年計画の前に1つやり遂げていることがある。

社長就任の際、二代目で女性ということで銀行の評価が悪く、合併を持ちかけられた。その時に、”半年で結果を出す”と啖呵を切ったそうだ。そして、最初に27名の社員のうち5名をリストラし、「私VS社員」という構図を作って、社員を一丸となって奮起させた。

その結果、半年と言わず三ヶ月で数千万円の赤字を黒字転換させることが出来たそうだ。

重責や逆境との向き合い方

伊藤氏は、「為せば成る」という言葉を紹介している。

絶対にうまくいくと自信を持って行動すること。こういう人生を歩みたいという信念さえ持っていれば出来ない理由を並べることはできないし、どうやったらできるかをまず考える。

諏訪氏は、シェイクスピアの「世の中に幸も不幸もない。ただ考え方次第でどうにでもなる」という言葉に出逢った。大変だ大変だって言っているけど、その大変の基準は一体何なのかと気付かされ、失敗とはこの会社をなくしてしまうこと、それ以外は成長の過程であって失敗に当たらないと、基準を上げてしまおうと考え方を変えたそうだ。

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まとめ

このお二人の対談、同じような境遇をいかに乗り切ったかと語られているが、脳科学的な視点で見るといかにセルフコントロールができているのかと感じる。

”良い言葉は心の栄養”というが、本当に言葉によって救われ力を発揮している。また、事業継承を決断する際には、助言を受けて後戻りのできない一歩を踏み出す覚悟を決めている。

その覚悟の先には、自分自身のことではなく両親への感謝や社員のことを思う、”他者への貢献”というものが大きな力として下支えしていることがよくわかる内容だった。